パブリック親父

好きな小説を言葉数少なめに語ってます(笑)

「座頭市物語(『ふところ手帖』より)」 子母澤寛著作、1948年発表

いつぞや、香取信吾主演で映画・座頭市の完結編なる物が作られたことがあった。
その時の版権所持者は、「これ以後、座頭市を映画化することはない」と豪語した。
しかし、そこには裏がある。
実は、映画で有名な「座頭市」には原作がある。
その原作の著作権が、あと数年で切れるのだ。
原作者の子母澤寛は1968年に死去しているため、50年後以降の2019年に著作権は切れる。
そのためそれ以後は、誰でも自由に座頭市の映画が作れるのである。
さて肝心の原作の中身であるが、原作の市は、見かけはカッコ良くないが頼れる中年オヤジとして登場する。
しかも奥さんもちである。
話としては、時代劇のような大立ち回りはない。
ヤクザの組織に身を寄せたが、そこのやり方が気に入らず、奥さんを連れて出ていく話であるからだ。
原作に描かれる主人公は、アウトローのような派手さはない。
自分に付いてくる奥さんを案じながら芯を通し、自分から進んで身を引く空気を読む人なのである。